パーソナルスペース、対人距離の分類

パーソナルスペース、対人距離の分類
パーソナルスペース(personal-space)は、他人に近付かれると不快に感じる空間のことで、パーソナルエリア、個体距離、対人距離とも呼ばれます。

一般に女性よりも男性の方がこの空間は広いとされていますが、社会文化や民族、個人の性格やその相手によっても差があり、親密な相手ほどパーソナルスペースは狭く(ある程度近付いても不快さを感じない)、逆に敵視している相手に対しては広くなります。

(ストーカー等)相手によっては距離に関わらず視認できるだけで不快に感じるケースもあります。

1966年、アメリカの文化人類学者のエドワード・T・ホールは、対人距離を4つのゾーンに大別し、それらをさらに近接相と遠方相の2つに分類しました。
パーソナルスペース

1.密接距離:ごく親しい人に許される空間
  近接相:0~15cm(抱きしめられる距離)
  遠方相:15~45cm(頭や腰、脚が簡単に触れ合うことはないが、手で相手に触れるくらいの距離)

2.個体距離:相手の表情が読み取れる空間
  近接相:45~75cm(相手を捕まえられる距離)
  遠方相:75~120cm(両方が手を伸ばせば指先が触れあうことができる距離)

3.社会距離:相手に手は届きづらいが、容易に会話ができる空間
  近接相:1.2~2m(知らない人同士が会話をしたり、
           商談をする場合に用いられる距離)
  遠方相:2~3.5m(公式な商談で用いられる距離)

4.公共距離:複数の相手が見渡せる空間
  近接相:3.5~7m(2者の関係が個人的なものではなく、
           講演者と聴衆と言うような場合の距離)
  遠方相:7m以上(一般人が社会的な要職にある人物と面会するような場合におかれる距離)  

密接距離
▲密接距離

建築学者の西出和彦は、対人距離を以下のように分類しています。

1.排他域:50cm以下。
  絶対的に他人を入れたくない範囲で、
  会話などはこんなに近づいては行わない。

2.会話域:50cm~1.5m。
  日常の会話が行われる距離。このゾーンに入ると
  会話することが強制的であるような距離圧力を受ける。
  すなわち会話無しではいられない。
  もし会話が無いときは何らかの「居ること」の理由を必要とする。

3.近接域:1.5~3m。
  普通、会話をするためにこのゾーンに入る。
  会話をしないでこのゾーンに居続けることも可能。
  距離圧力としては微妙なゾーンであり、
  しばらく会話なしでいると居心地が悪くなる距離。

4.相互認識域:3~20m。
  知り合いであるかどうかが分かり、相手の顔の表情も分かる。
  普通、挨拶が発生する距離。特に3~7mの距離では、
  知り合いを無視することはできない。

グレコローマンスタイル・レスリング(密接距離・近接相、排他域)
▲グレコローマンスタイル・レスリング(密接距離・近接相、排他域)

ベンチで間に物を置いて座る2人(密接距離・遠方相、会話域)
▲ベンチで間に物を置いて座る2人(密接距離・遠方相、会話域)

ベンチで距離を置いて座る2人(密接距離・遠方相、会話域)
▲ベンチで距離を置いて座る2人(密接距離・遠方相、会話域)

会議室の大きな机(密接距離・遠方相、会話域)
▲会議室の大きな机(密接距離・遠方相、会話域)

空いている電車で離れて座る乗客(公共距離・近接相、相互認識域)
▲空いている電車で離れて座る乗客(公共距離・近接相、相互認識域)


昨今は、新型コロナウィルスの影響でパーソナルスペースが広がりつつあります。

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参考文献;
パーソナルスペース(personal-space)
https://bit.ly/2KdDDIE
エドワード・T・ホール(Edward Twitchell Hall, Jr.)
https://bit.ly/3slEVT7
西出和彦
https://bit.ly/2XDn6Ra