堆積物としての粘土

堆積物としての粘土
粘土(ねんど、clay[クレイ])は、地層中などから得られ、焼き物の素材にもなる「粘っこい土」のことです。

「ねばつち」「へなつち」とも読みます。
「粘っこい土」

学術・産業上は「非常に細かい粒子でできた堆積物」として定義されます。

土粘土のほか、塑造(そぞう)やモデリング用に商品化された粘土様の造形材料のことも言います。(学校教材としても馴染みが深いです。)

粘土の定義は、陶工、土壌・農学、セラミック工学、地質学(堆積学)、鉱物学などの分野により異なります。

地質学では、粒径(粒の大きさ)が3.9µm未満の粒子、鉱物学では、2µm以下の粒子、土質力学の統一分類法では、粒径が5µm以下の土とされます。

これより大きいものは沈泥(ちんでい)と呼びます。

化学的・鉱物学的には層状ケイ酸塩鉱物(フィロケイ酸塩鉱物)を主とし、方解石、苦灰石、長石類、沸石類などから成る粒子の集合体に少量の水分が含まれています。

捏ねると塊になり、同時に手で延ばしたり、細工できるようになること、火に耐えるといった粘土の持つ性質は、太古より利用されてきました。

科学的な観察、分析が進むにつれて、それまで「粘土」と呼ばれてきたものには化学的吸着、イオン交換、触媒性、水との混合による泥水の形成、粘性、粘着性、可塑性、低透水性など多くの性質が認められるようになりました。

低透水性については、含有する鉱物の種類や粒径分布によって大きく異なりますが、透水性の低さにより地盤の圧密が非常に緩やかに進み、構造物は建設から数年経た頃に地盤沈下などの問題を生じる場合があります。

「粘土は千の利用法がある」と言われ、ノーカーボン紙、油脂の脱色、ガソリンや灯軽油の脱水、鋳物、ボーリングの潤滑剤など多方面に使われています。

  • 水を含んでいるときは柔らかく、熱したり焼いたりすると 堅くなり戻らない性質があるので陶器や磁器・煉瓦などに使われます。
  • 力を加えると軟らかくなり、しばらくすると固くなるという性質を応用し、塗るときまでは軟らかく塗った後にそこに留まるペンキに使われています。
  • 粘土の優れた吸水性を利用して、おむつにも利用されています。
  • 「余分な皮脂や汗を取り去る(吸着性)」、「塗布すると極めて薄い膜をつくる(保湿性)」、「イオン交換」の性質を利用し、化粧品・シャンプー・歯磨きあるいはその原料としても用いられます。
  • 粘土が種々の有機色素を吸着して特有の色を発色するのを利用したカラープリンターに使われています。
  • 有害なバクテリアを包み込んだり余分な水分を吸着して下痢を防ぐため、胃腸薬にも粘土が含まれています。

歴史的には、
  • メソポタミア文明では文字の媒体として粘土板が使われました。
  • クレオパトラは美容のために粘土を顔に塗っていました。
  • 古来、塑像の素材として利用されてきました。
  • 粘土の脱脂効果を利用し、ローマ時代のフェラーと呼ばれる羊毛の油を処理する人々は刈った羊の毛についた油を取るのに粘土を好んで使用しました。
  • 日本ではシャンプーがない江戸時代から昭和初期頃まで力士の鬢付け油(びんづけあぶら)の洗浄に使われていました。

「光る石材壁」(ブライトストーン)で使用される クレイタイプの石材は、マットな質感が特徴で、 粘土質の粒子が堆積し長い年月で出来た模様が印象的です
「光る石材壁」(ブライトストーン)

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参考文献(Wikipedia);
粘土(ねんど)
https://bit.ly/2KfE312
沈泥(ちんでい)
https://bit.ly/2XJ1ao0
ケイ酸塩鉱物
https://bit.ly/3qlo0hv
方解石(ほうかいせき)
https://bit.ly/38J74eT
苦灰石(くかいせき)
https://bit.ly/3ih9bdd
長石(ちょうせき)
https://bit.ly/2LCCNpx
沸石(ふっせき)
https://bit.ly/3bHn9nu
イオン交換
https://bit.ly/2Kh3Aa9
触媒
https://bit.ly/35LuzSW
塑性(そせい)
https://bit.ly/2NaAMS1
ノーカーボン紙
https://bit.ly/3qmTR1A
鋳物(いもの)
https://bit.ly/3ieszHL
粘土板
https://bit.ly/39xHGbs