アトリウムで採用されるDPG工法

アトリウムで採用されるDPG工法
ガラス建築の施工方法に、DPG(Dot Point Glazing)工法があります。

サッシを設けず、孔を開けたガラス同士を点支持で連結する工法で、1980年代中頃よりアトリウム(ガラスやアクリルの屋根で覆われた大規模な空間)などで採用されています。

最初にこの工法が採用された博物館の所在地から、日本以外では「ラ・ヴィレットシステム」とも呼ばれます。

四隅の×字状の金具で、ガラス同士をつないでる(香港の高級住宅)
▲四隅の×字状の金具で、ガラス同士をつないでいます。 (香港の高級住宅)

1980年代のパリ改造計画「グラン・プロジェ」の一環として、ラ・ヴィレット公園内のシテ科学産業博物館のコンペティションが行われ、エイドリアン・ファンシルベールの案が採用されました。

ガラスのアトリウム部分にサッシを設けず、出来る限り透明な造りにしたいと考えたファンシルベールは、アイルランドの構造家ピーター・ライスに協力を依頼しました。

これまでにも、ガラスの隅をプレートで留めてつなぎあわせる方法がありましたが、風圧に弱い欠点がありました。

これを克服すべく、強化ガラスの四隅に開けた皿孔に、ロチュールと呼ばれる特殊ヒンジボルトにより支持する方法が考案されました。

ガラスに穴をあける工程があるため、高価になりがちですが、ロチュールで連結した複数のガラスを、カーテンウォールのように梁からぶら下げる構造で、ロチュールが自在に動くため、風圧に強くカーテンウォールと同等の耐震性があります。

支持構造体には、スチールやステンレスのトラス、ロッド、ケーブル等の他、ガラスの補強材も用いられます。

シテ科学産業博物館のアトリウム
▲シテ科学産業博物館のアトリウム

日本では、1993年に竣工した日本長期信用銀行本店ビルのアトリウムが本工法を本格的に採用した最初期の建築物です。(のちの新生銀行本店ビル、2013年に解体)

シテ科学産業博物館のアトリウム
▲日本におけるDPG工法のさきがけ、旧長銀ビル。
 低層部のアトリウムにDPG工法を採用。


▼「ポイントフィックス」は、ガラスを壁面パネルとして使う際、枠や構造物に固定するためのパーツで、DPG工法にも使われます。
「ポイントフィックス」

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参考文献(wikipedia);
DPG工法
https://bit.ly/3auRstk
アトリウム(atrium)
https://bit.ly/2xGsLgh
シテ科学産業博物館
https://bit.ly/2RVRqnI
日本長期信用銀行
https://bit.ly/34XPXT3